現代社会における『人生の目的』探しが難しい理由

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著者:ダグラス・ラビア(Douglas LaBier)

全ての存在は、地球上で果たすべき目的を持っている。

サアディー

なぜ自分の人生の目的が見つからないのか?

よく、「なぜ自分の人生の目的が見つからないのか?」と聞かれることがあります。これまで、健全な人生を築こうとする心理療法の患者や、健全なリーダーシップを目指すビジネスエグゼクティブからも、この問いを耳にしてきました。彼らは必ずしも宗教的でも霊的でもありませんが、自分の人生を定義し、統合する「何か」を切実に求めています。

多くの人は「人生の目的」を特定することをうたうさまざまな本やプログラムに頼りますが、大半が満足できる答えを得られず、「まだ自分が探しているものは見つからない」と嘆きます。

しかし一方で、多くの人が自分の人生の目的を見つけ、それに調和して生きています。ここでは、なぜ多くの人がその目的を見つけられないのか、そして見つけられた人々がどのように違うのかについて、私の観察を共有します。

まず、誰もが何らかの形で自分の人生を定義する目的に引き寄せられる感覚を持っていると思います。ただ、その感覚は日常の忙しさや目先の目標に埋もれてしまい、気づかれなくなりがちです。実際、人間以外の生命や自然現象も、何らかの目的に向かって動いています。例えば、果実をつける木や雨をもたらす雲。しかし私たち人間は、日常の活動や目標に夢中になりすぎて、自分の独自の目的への意識が薄れてしまうのです。

目的を見失うことの影響

人生の目的を見つけられないことで、慢性的な不満や内なる平和の欠如、そして自分自身との不調和を感じることがあります。表面的には成功しているように見えても、内面では空虚感や満たされない気持ちに悩む人々を多く見てきました。「自分のキャリア選択や人生のパートナーが間違っていたのでは?」と悩む人や、選んだ道が実際にはもっと意味のあるものだったのではないかと考える人もいます。

多くの場合、私たちの内なる本当の自分は、外面的な人生と調和していないことに気づいています。それが「違和感」や「不調和」として現れるのです。自分の真の価値観や秘めた願望、想像力、そして他者への愛や共感、寛大さなどを認識することは、人生の目的を見つける上で重要です。

『人生の目的』探しが難しい

人生の目的を見つける人々の共通点

人生の目的を見つけた人々には共通の特徴があります。それは、「自己中心的でないこと」です。皮肉なように聞こえるかもしれませんが、自分の目標やニーズを達成することに強く固執するほど、目的が見えなくなります。エゴが目的を覆い隠してしまうのです。

エゴから解放されることで、自分の内面と外面が調和しているかどうかを確認できます。自分の内面を理解すること、つまり自分の価値観、願望、想像力、そして愛や共感、寛大さなどを認識することが、人生の目的を形作る基盤になります。

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人生の目的を見つけた人々のもう1つの特徴は、自分の精神的、創造的なエネルギーを、自己を超えた「何か」のために捧げることです。それは、見返りを求めず、ただ愛を与えるために愛を注ぐ恋人のようなものです。このような自己超越的な奉仕は、利益や報酬を期待せず、心から自然に行われます。しかし、この行動原理は、利益重視の社会では理解しにくいかもしれません。

こうした奉仕の形は、多くの人において様々な形で現れます。一部の人々にとっては、日々の仕事そのものがその「目的」を具現化しています。興味深いのは、目的を直接的に追求するのではなく、間接的に到達することが効果的だという点です。この逆説的なアプローチについて、オックスフォード大学ビジネススクールの元所長ジョン・ケイは『Obliquity』で解説しています。過度な自己中心的な関心は、むしろ成功を妨げることが多いのです。情熱を持って新しい製品を作ることに集中する人と、市場シェアを奪おうと必死になる人では、結果に大きな違いが出るのです。

こうした「自己を超えた奉仕」は、若者にも高齢者にも共通して見られます。それは意識的な選択による場合もあれば、予期しない出来事によって目覚める場合もあります。たとえば、大学生活に幻滅した20代の女性が地元に戻り、音楽や芸術の仲間と活動する中で、非営利団体「GoodMakers Street Team」を設立しました。この団体は、地域社会にポジティブな変化をもたらす若者たちの集まりです。

高齢者の間では、「アンコールキャリア」や新しいプロジェクトへの参加を通じて、内なる自分と調和した人生の目的を発見する人が増えています。それは、長年の人生の中で潜在的に存在していたものかもしれません。また、トラウマや悲劇がきっかけとなることもあります。たとえば、拷問被害者の支援を人生の目的とする人や、息子の死を契機に犯罪司法の分野で活躍することになったジョン・ウォルシュのようなケースです。

指針とアドバイス

自分の人生の目的を見つけるためには、自己中心的な考え方を弱める努力が重要です。そして、以下のようなアプローチが役立ちます:

  • 現在の選択や生活を振り返ること

自分の行動やコミットメントを外部から眺めるようにして、それが内なる自己とどれだけ共鳴しているかを見極めてください。仕事や人間関係を単に調整するのではなく、それらが何を教えてくれるのかを考えることが大切です。それは、自分の内なるビジョンや情熱を表現しようとしているサインかもしれません。

  • 内面と共鳴する目的や活動を見つけたら、それに全力で取り組むこと

その道が真実であるかどうかは、行動の結果が教えてくれます。目的が具体的であれ、精神的であれ、利己的な関心を最小限にして追求することで、次のステップが見えてきます。

  • 愛と奉仕の精神をすべての行動に込めること

親切さ、思いやり、寛大さ、公正さなど、ポジティブなエネルギーを意識的に注ぎ込むことで、エゴを抑え、人生の真の目的がより鮮明に見えてきます。

もちろん、これは簡単ではありません。文化的な圧力や他人からの反対に直面することもあります。しかし、ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉を思い出してください。「どんな行動を選んでも、それが間違っていると言う人は必ずいる。批判者が正しいと思わせるような困難も必ず現れる。計画を立て、それを最後まで成し遂げるには勇気が必要だ。

『人生の目的』探しが難しい

また、スーフィー教の指導者ハズラット・イナヤット・カーンは、目的への衝動を次のように述べています。「ある晩、『北へ行かなければならない』と思い立ち、翌朝には旅に出る。その理由も目的も分からない。ただ進むべきだと感じる。そして北へ行った先で、自分が果たすべきことを見つけ、それが運命の手に導かれていたことに気づく。」

「北へ向かう」決断をした人々は、静かな内なる力、インスピレーション、そして行動における成功を周囲に放ちます。そのエネルギーは、周囲にも伝わるのです。

どんな行動を選んでも、それが間違っていると言う人は必ずいる。批判者が正しいと思わせるような困難も必ず現れる。計画を立て、それを最後まで成し遂げるには勇気が必要だ。

ラルフ・ワルド・エマーソン

オリジナルの英語記事

Why It’s Hard to Find Your ‘Life Purpose’ In Today’s World – by Douglas LaBier Ph.D. https://www.psychologytoday.com/intl/blog/the-new-resilience/201105/why-its-hard-to-find-your-life-purpose-in-todays-world.

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